塾(第11回)
電解水回答No,1
電解水が注目を浴びている背景を探ると衛生管理に欠かせない「次亜塩素酸ナトリウム」(以下、次亜塩素酸Na)の使用上の問題点、安全性があげられると思います。
ご存知の通り「次亜塩素酸Na」は強アルカリ(PH12)で取り扱いにも最新の注意が必要です。
最近までコンビニのサラダが次亜塩素酸Naで消毒されているので、切り口がいつまでも変色しない、ビタミンがほとんど無くなる、塩素の臭いがすると言っていましたが、最近は耳にしなくなりましたよね。
変色しない理由やビタミン流失には別の訳があるのですが、今回は触れないでおきます。
電解水が最近注目を浴びるのは平成14年に「次亜塩素酸水」が人の健康を損なう恐れがないことから「食品添加物」として指定され、食材の洗浄殺菌にも使用できるようになったことと、平成24年5月に厚生労働省が「大量調理施設衛生管理マニュアル」で「微酸性次亜塩素酸水」の使用を明文化したことがあげられると思います。
厚生労働省のHPから『食品添加物指定酸性電解水(「次亜塩素酸水」)の要点』を作成しましたので参考にして下さい。
食品添加物指定酸性電解水(「次亜塩素酸水」)の要点
官報第3378号(平成14年6月10日):厚生労働省令第75号・告示第212号
厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知(食基発第0610001号)等参照
- 1.名 称
- 次亜塩素酸水HypochlorousAcidWater
- 2.定 義
- 塩酸または食塩水を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液.強酸性次亜塩素酸水と徴酸性次亜塩素酸水とがある.
- 強酸性次亜塩素酸水: 0.2%以下のNaCl水溶液を有隔膜電解槽内で電解して陽極側から生成.
- 微酸性次亜塩素酸水: 2~6%塩酸を無隔膜電解槽内で電解して生成.
*NaClも塩酸も飲用適の水で希釈すること.
- 塩酸または食塩水を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液.強酸性次亜塩素酸水と徴酸性次亜塩素酸水とがある.
- 3.親・格: 下表参照
- 4.安全性
- 人の健康を損なうおそれはないことから、食品添加物として指定することは差し支えない.
厚生労働大臣(坂口力)宛薬事・食品衛生審議会会長(内山充)答申
(薬食審第0327004号 平成14年3月27日)
- 人の健康を損なうおそれはないことから、食品添加物として指定することは差し支えない.
- 5.使用基準
- 1)使用前に、pH、有効塩素濃度などを確認すること.
- 2)予め飲用適の水で食品の汚れを洗浄除去した後、使用すること.
- 3)使用後は、食品を飲用適の水で十分に洗浄すること.
- 4)生成装置の作動中は十分な換気を行うこと.(微量の塩素ガスと水素ガスの発生)
- 5)食品調理施設等の衛生管理に使用する際には、「大量調理施設衛生管理マニュアル」
(平成9年3月24日衛食第g5号厚生省生活衛生局長通知)などに従うこと.
- 6.生成装置
- 電極:白金、チタン等の電極部分が溶出しないものであること.
- その他:電解槽、貯水タンク、ホース、ポンプなどの電解水に接触する部分は、規格基準(昭和34年厚生省告示第370号沖第3器具及び容器包装に定める規格に適するもの.
- 耐用性:品質及び性能が安定し、長時間の使用に耐え得ることが確認されているものであり、さらに定期的にメンテナンスが行われているものであること.
*使用:次亜塩素酸水を自家消費にて使用する営業者は、添加物製造の許可等は必要とない
- 7.その他:次亜塩素酸水そのものは流通しない.
強酸性次亜塩素酸水
(強酸性電解水)徴酸性次亜塩素酸水
(微酸性電解水)被電解水 0.2%以下のNaCl 希塩酸(2~6%) 電気分解槽 有隔膜電解槽 無隔膜電解槽 電解生成液 有効塩素濃度 20~60mg/kg 10~30mg/kg pH 2・7以下(2.2~2)* 5.0~6.5 生成化学種 HClO、 H+、 ClO・ 同左 (分子量) (52.47、1.01、51.45) 同左 用途 殺菌料 殺菌料 既認可用途* 手指・内視鏡の洗浄消毒 特になし *(財)機能水研究振興財団発行「電解水ガイド(2001)」参照
電解水って?
電解水(でんかいすい、Electrolyzed water)とは、食塩などの電解質を添加し電気分解することで得られた物質を混合した水である。
陰極(-)側からはアルカリ性を示すアルカリイオン水が作られる。
電極の陽極(+)側からは塩素を含んだ酸性を示す酸性電解水が作られ、特徴によりさまざまな種類がある。
殺菌効果の高いオゾンを含むオゾン水を水道水から作る技術もある。CENTER:(Wikipediaより引用しました)
電解水の種類(次亜塩素酸Naは電解水なの?)
酸性電解水は装置や電解条件などの違いにより色々なものがつくられ、使用する目的によって洗浄消毒など衛生管理に使われる殺菌性電解水(強酸性電解水〈PH2.2~2.7〉や微酸性電解水〈PH5.0~6.5〉などの酸性電解水)、強アルカリ性電解水(次亜塩素酸ナトリウム〈PH11~11.5〉とみなされている電解次亜水があり、更に電解製オゾン水もあります。
長い間飲むことで胃腸症状改善効果が明らかとなっている飲用アルカリ性電解水(アルカリイオン水)に分けることができます。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸Naの比較 | ||
---|---|---|
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸Na | |
トリハロメタンの含有 | 水道水並 | あり |
臭素酸の含有 | 水道水並 | 多い |
手あれ | しにくい | する |
環境汚染リスク | 低い | 高い |
更に、次亜塩素酸水は急性毒性試験、皮膚刺激試験、変異原生試験、粘膜刺激試験についても異常なしです。殺菌効果は同じ程度ですが、手洗いの殺菌に次亜塩素酸Naは使えませんが酸性電解水は使えます。
電解水の殺菌効果は有機物の量によって変わってきます。
電解水回答No2で解説したいと思います。